『竹槍念仏』

『竹槍念仏』山本周五郎

あらすじ

甲州・谷村新田にある貧乏寺「一念寺」には、住職の自念という僧がいる。だが彼は、かつて清水次郎長の身内で「向こう見ずの半太郎」と呼ばれた渡世人だった。ある事情で出家し、僧として暮らしていたが、彼の正体を知る者はいなかった。

ある日、自念は定吉という若者を助ける。定吉は江戸の炭問屋の甥で、兄の吉之助を殺した仇を討つため、仲間の渡世人辰次郎と共に甲州へやってきたのだった。彼の兄を殺したのは、博奕打ちの貸元・美須屋勘八。定吉は敵討ちを決意するも、腕に覚えがなく、仇を討つ力もない。そんな彼を見て、自念の心は大きく揺れ動く。

一方、寺の近くに住む農民茂右衛門の娘おきいは、自念に密かに想いを寄せていた。しかし、僧としての道を選んだ自念には、その気持ちを受け入れることはできない。煩悩を捨てようと必死に修行に打ち込むが、彼の心は迷い続けていた。

やがて、自念は決断する。自らの過去を捨て、僧として生き続けるのか。それとも、かつての「向こう見ずの半太郎」に戻り、正義のために戦うのか――。

運命に抗いながらも、自らの信念に従って生きる男の物語が、今ここに描かれる。

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