『癇癪料二十四万石』

あらすじ
京極忠高は、幼少期から気性が激しく、幼名・熊若丸の頃、本多忠勝に頭を撫でられたことに怒り、拳で叩き返すほどの剛胆な少年だった。成長後、父・京極高次の跡を継ぎ、二十四万石を治める大名となるが、その癇癪は変わらず、家臣や周囲を振り回す。
ある日、忠高の家臣・梶井源左衛門が松平河内守の家臣・布目主膳の弟を討ち取ったことから、主膳が仇討ちを申し出る。正式な立ち合いの末、源左衛門が主膳を討つが、忠義のために自刃してしまう。この事件を機に、忠高と河内守の対立は激化していく。
後日、江戸から国入りの途上で川止めに遭うが、河内守から「祖先の名を辱めるな」と挑発を受け、怒った忠高は家臣を率いて増水した川を強行突破。幕府はこれを問題視し、ついに忠高の領地を没収する。
江戸へ戻った忠高は妻・保子に「すまなかった」と謝るが、保子は「ご先祖の名を辱めぬ立派な行いでした」と微笑む。忠高はその後まもなく亡くなり、弟・京極高和が家督を継ぎ、京極家は再興された。
「癇癪料二十四万石」は、気性の激しい京極忠高が、最終的に自らの癇癪によって領地を失うまでの波乱万丈な人生を描いた物語です。彼の気性は幼い頃から変わることなく、最後には運命を決定づける大事件へとつながります。しかし、その生き様にはどこか清々しさがあり、彼の誇り高さや正直さが読者の心を打つ作品となっています。
忠高の激しい気性と、それを静かに支える保子の対比、また松平河内守との因縁や家臣たちの忠誠心など、さまざまな人間模様が交錯する物語です。
書籍
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