『良人の鎧』

『良人の鎧』山本周五郎

あらすじ

時は慶長5年。関ヶ原合戦の直前、戦国の混迷が頂点を迎える中で物語は動き出します。
浅野家の家臣・香田孫兵衛(こうだ まごべえ)は、主君浅野幸長(あさの よしなが)から密書を託され、徳川家康の元へ届ける重大な使命を帯びます。

発端は、孫兵衛が義兄の菊岡与吉郎(きくおか よきちろう)の飼い犬「飛竜」を斬った事件。
それは単なる感情ではなく、義兄が主君のためを装いながら、実は石田三成に取り入ろうとする姿勢への強烈な抗議でした。
「飛竜」は三成への“媚び”の象徴だったのです。

この一件を機に、孫兵衛は与吉郎と敵対し、主君から極秘の密書と短刀を託され、三成の目をかいくぐって家康の元へ走ります。
追手に追われながら、かつての知人平林大膳や和泉兵庫介の助けを得て、各地を潜伏・転々とし、ついに家康への密書を届けることに成功。

しかし、彼の心を最も揺さぶったのは、妻**屋代(やしろ)**の決意でした。
孫兵衛の名を騙り、戦場に身を投じ、夫のために傷ついた屋代。
彼女の“良人”を守る覚悟と愛が、孫兵衛に新たな覚悟を与えます。

そしてついに関ヶ原――。
孫兵衛は菊岡弥五郎や家臣たちと共に激戦に挑み、忠義と誇りを貫き通すのです。
「俺は星(ほし)として、この戦に死ぬ」
そう誓い、全身全霊で戦場に駆けていく彼の姿に、武士の魂が宿ります。

書籍

created by Rinker
¥99 (2025/04/19 08:53:25時点 Amazon調べ-詳細)

朗読


山本周五郎YouTube朗読チャンネル

本文