『日本婦道記 阿漕の浦』

日本婦道記 阿漕の浦 山本周五郎

あらすじ

慶長五年(1600年)、関ヶ原合戦前夜――。
伊勢国・安濃津城主・富田信濃守知信の妻、渼子は、夫が出陣し城を留守にしている間、家と子を守る立場にあった。ある日、彼女のもとに実家・宇喜多家からの使者が訪れる。渼子の父、宇喜多忠家は、主君・宇喜多秀家とともに石田三成の西軍に与しており、娘と孫たちを戦火から守るため、大阪へ迎え入れようとする。しかし、渼子はそれを断り、武士の妻として夫の留守を守ることを誓う。

やがて、西軍の大軍が安濃津城を包囲し、開城か降伏かを迫るが、渼子は最後まで抵抗を決意。敵の猛攻が迫る中、幼い息子・信孝を城の「大将」として甲冑を着せ、自らも薙刀を手に城の守りにつく。

しかし、圧倒的な兵力差の前に城は陥落寸前となる。そこへ夫・知信が帰還し、渼子の覚悟と奮闘を知る。知信は渼子の決意を讃え、家族とともに戦場を去ることを決めるのだった。

戦国の世に生きた一人の女性の誇りと覚悟を描いた、感動の歴史物語。

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