『三年目』

三年目 山本周五郎

あらすじ

腕のいい大工・友吉は、かつての親方・伊兵衛の最期の願いを胸に、博打を断ち、江戸を離れて三年間修行を積んでいた。帰郷した彼は、かつて許嫁だったお菊を訪ねるが、彼女は後輩の大工・角太郎と夫婦になったと聞かされる。信じられない思いのまま、友吉はかつての仲間である仁太郎と再会し、角太郎の行方を探る。

失意の中、偶然入った小料理屋で幼なじみのお米と再会し、彼女からお菊と角太郎が深川に暮らしていることを聞く。疑念と怒りを抱えた友吉は、お菊の住まいを突き止めるが、そこで彼が知るのは、角太郎が自分を裏切ったのではなく、お菊を守るために夫婦を装っていたという衝撃の真実だった。

その最中、江戸は大雨に見舞われ、深川では洪水が発生。友吉はお菊を救うため、濁流の中へ飛び込み、命がけで彼女を助け出す。角太郎も協力し、三人は絆を取り戻す。お菊は涙ながらに友吉を待ち続けていたことを告げ、友吉もまた彼女の気持ちを信じるのだった。

こうして、三年間の誤解とすれ違いを乗り越えた友吉とお菊は、再び共に生きる道を選ぶ。時代を超えて心を揺さぶる、愛と誠実、そして信念を描いた人間ドラマの傑作である。

書籍

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