『奇縁無双』

奇縁無双 山本周五郎

あらすじ

🔹無愛想な武士とじゃじゃ馬姫の運命の出会い
飯田藩士・来栖伊兵衛(くるす いへえ)は、不愛想ながらも人徳ある三百石の近習番。ある日、馬を駆る娘に泥を浴びせられたことから口論となり、ついには娘の頬を打つ。しかし、その娘こそ、藩主・堀大和守親長(ほり やまとのかみ ちかなが)の五女で、武芸に秀でた「じゃじゃ馬姫」と噂される万姫(まんひめ)だった。

🔹万姫の試練と伊兵衛の覚悟
万姫は自らの武芸を誇り、家中の若侍たちを次々と薙刀の試合に呼び出しては打ち負かしていた。そんな中、ついに伊兵衛の親友・吉沢幾四郎(よしざわ いくしろう)にも試合の順番が回ってくる。しかし、伊兵衛は幾四郎を酒で眠らせ、自ら試合の場へ向かうのだった。

🔹洞窟の夜ーー姫の心に変化が訪れる
試合を待たずして、伊兵衛は万姫を荒々しく馬で追い立て、人里離れた山中の洞窟へと連れていく。そして、一夜を過ごす中で、姫はこれまでの自らの振る舞いを省み、初めて己の弱さを知るのだった。狼の遠吠えが響く闇の中、恐れおののきながら伊兵衛にすがる万姫ーーその時、彼女の中に芽生えたのは、ただの屈辱ではない、ある想いだった。

🔹すべては「婿選び」だった?
実は、万姫が武芸試合を繰り広げていたのは、父・親長が選んだ婿候補たちを自ら試していたためだった。そして、彼女は伊兵衛を選ぶ。父に「来栖伊兵衛を婿に」と願い出る万姫。しかし、家柄も立場も違う二人の婚姻は簡単にはいかない。

はたして、じゃじゃ馬姫と無骨な武士の運命はーー?
奇縁に導かれた二人の物語が、今、幕を開ける。

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