『身代り金之助』

あらすじ
時は戦国、少年武士の運命が大きく動き出す――。
15歳の少年・金之助は、亡き父の遺志を継ぎ、病身の母おむらを支えながら生きる心優しき武士。だが、彼の主君である慶太郎はわがままで乱暴者。金之助はいつも理不尽に振り回されながらも耐え忍んでいた。そんな彼を気にかけるのが、足軽の娘お奈々。彼女は金之助の誠実さと強さを誰よりも知っていた。
しかし、戦乱の世は彼らの運命を一変させる。ある日、敵の軍勢が城を急襲。武将榊原与右衛門のもと、城を守る戦が始まる。そんな中、慶太郎は恐怖に駆られ、自らの役目である援軍要請を金之助に押し付けようとする。 命を懸けた使命に対し、金之助は主君の身代わりとして出陣することを決意した。
そして、それが彼の人生を根底から揺るがす事実を呼び起こす。
実は、金之助こそが本来の与右衛門の子であり、慶太郎こそが足軽・茂兵衛の息子だったのだ! かつておむらの夫・茂兵衛が、わが子を武士の家に入れようと企み、二人の赤ん坊をすり替えていたのだった。
己の正体を知らぬまま、金之助は命をかけて戦場を駆ける。そしてついに与右衛門と対面し、「お前こそが我が子だ!」と告げられる。15年の時を経て、金之助は本当の父と巡り会い、自らの生まれた意味を知るのだった――。
身代わりから始まる数奇な運命、少年の武士道と成長の物語。
金之助の未来はどこへ向かうのか?