『和蘭人形』

あらすじ
江戸時代、金森家 では当主・金森頼宗が病に倒れ、家督相続を巡る不穏な動きが広がっていた。頼宗には男子の跡継ぎがおらず、一人娘の満理子 だけが残されている。この隙を狙い、分家の金森頼母 は自身の息子・大三郎 を後継者に据えようと、家老の相良外記 や家臣の瀬越六兵衛 と共に陰謀を企てる。
頼宗は死の間際、正当な跡継ぎとして真鍋龍之介 を満理子の婿とする遺言をしたため、それを信頼する家臣・高村數馬 に託した。しかし、數馬は遺言書を幕府老中・板倉内膳正 に届ける途中、敵の待ち伏せに遭い、闇討ちにされてしまう。そして遺言書は奪われ、偽の遺言書が作られる。
數馬の妹であり、満理子に仕える若き侍女・高村千草 は、兄の死を知りながらも、その真相を暴くことを決意する。千草は、數馬が生前に本物の遺言書を「ある場所」に隠していたことを思い出す。そう、それは満理子が大切にしている「オランダ人形」の中だった。
しかし、その人形は千草が盗んだとされ、彼女は罪人扱いを受けてしまう。果たして千草は、自らの潔白を証明し、偽の遺言書を暴き、満理子を守ることができるのか? そして、金森家の未来は誰の手に託されるのか?
緊迫の陰謀劇と少女の勇気が交錯する、波乱の物語が今、幕を開ける——。