『五十三右衛門』

「五十三右衛門」山本周五郎

あらすじ

浪人・五十三右衛門は、正直者で不器用な男。父を亡くし、武士としての道を絶たれた彼は、病に伏せる母を支えながら、貧しい生活を送っていた。そんな折、彼は藩の中老新山信十郎と出会い、思いがけない申し出を受ける。それは、岡崎藩の老職曽我忠左衛門を暗殺するという任務だった。

一方で、五十三右衛門の母を親身に看病するおそのは、彼に密かに想いを寄せ、献身的に支えていた。五十三右衛門は新山の依頼を受け、忠左衛門の屋敷へ向かう。しかし、対峙した忠左衛門は、藩の未来を守ろうとする真の忠臣だった。彼の言葉を聞き、五十三右衛門は真の正義がどこにあるのかを悟る。

新山こそが藩を乱そうとする陰謀の首謀者であり、自分が利用されていたことを知った五十三右衛門は、新山の屋敷に乗り込み、陰謀を阻止するため命を懸けて戦う。そして、忠左衛門の協力を得て、新山の野望を打ち砕いたのだった。

その後、岡崎藩は正統な後継者によって安定し、五十三右衛門は正式に召し抱えられる。彼は、おそのを妻に迎え、これまでの苦難を乗り越え、武士としての新たな道を歩み始めるのだった。

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