『豪傑ばやり』

「豪傑ばやり」山本周五郎

あらすじ

戦国の世が終わり、天下は徳川の時代へと移る。しかし、かつての戦乱を生き抜いた武士たちは、己の誇りと生きる場所を求めてさまよっていた。各地の大名は、名のある豪傑を召し抱え、家の威厳を示そうと競い合う。

そんな中、東北の三春城では、戦功を持つ武士たちが集まり、酒宴を開いては武勇を語り合っていた。しかし、彼らの語る武勇伝には誇張や虚飾が交じり、本当の強者とは何かを問う声もあった。

そこに現れたのが夏目図書(なつめずしょ)。かつて大阪の陣で活躍し、天下に名を轟かせたとされる豪傑である。彼の名声に酔いしれた武士たちは、こぞって彼を称賛し、彼の豪放な言動に心酔していく。しかし、その姿を冷静に見つめる男がいた。

三春城に仕える馬頭鹿毛之介。彼もまた、戦の経験を持ちながらも、それを誇ることなく、ただ黙々と馬の世話をしていた。そんな彼が、ある事件をきっかけに図書と対峙することになる。

そして明らかになる図書の真実――彼は本当に豪傑なのか?
豪傑とは、名声や虚勢ではなく、己の生き様にこそ宿るもの。
虚飾にまみれた名声と、真に強い者の生き方が交差する、痛快かつ奥深い時代小説。

書籍

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